アトピー性皮膚炎は湿疹?!


トピー性皮膚炎の乳児例:個疹は鱗屑を伴う紅斑,丘疹,小水疱であり「湿疹」の所見を示す.このような悪化例は医療を敬遠し,自己加療している例が多い.  アトピー性皮膚炎の組織像:鱗屑痂皮を伴った表皮細胞間浮腫(海綿状態)がみられ,炎症の場が表皮にあることが示される.

アトピー性皮膚炎における皮膚症状は基本的には湿疹である

アトピ−性皮膚炎における皮膚症状は湿疹の概念に当てはまるものです.すなわち,組織学的に炎症の場は表皮にあり,臨床的にも点状状態,多様性,掻痒という定型的な湿疹のクライテリアを満たすものです.したがって,少なくとも皮膚症状からみると,アトピ−性皮膚炎患者には高率にIgE高値が認められるものの,T型(即時型)アレルギーが関与する病態にはみえません.むしろ,接触アレルギーの様なW型反応あるいは皮膚の防御機能の低下により,外的刺激に対して皮膚が過敏になって,容易に表皮を戦場とした戦争が勃発しまうというのが最も考えやすいアトピー性皮膚炎の病態であり,大部分の症例は後者のようなものであると考えられます.もちろんアトピー性皮膚炎は多様な病態を含んでおり,一つの原因ですべてを説明することはできません.しかし,小児期に発症する定型的なアトピ−性皮膚炎は皮膚の防御機能の低下を基盤として,痒みを生じ易い素因(これにはIgEが関与しているのかもしれませんが),どうしても掻破しまう精神的要因などが重なって生じる疾患と私自身は考えています.したがって,ほとんどのアトピ−性皮膚炎は,十分なスキンケアーと上手なステロイドの外用で,快適な生活を送ることが可能ですし,アトピー素因もいずれは直っていくものなのです.ところが,様々な情報に混乱し,いわゆる「素人療法」にはしり,とんでもない状態にしてくる患者さんが後をたたない現状は,医師不信時代の象徴でありとても残念なことです.


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