Net4U離陸
経済産業省による「先進的IT活用による医療を中心としたネットワーク化推進事業」の採択を受け、地域医療機関連携 ・ 総合型医療情報システムNet4がいよいよ離陸します。
Net4Uは、インターネットで培われた情報通信技術(IT)を活用し、診療情報を医療機関同志で共有するという新しい医療形態を試行します。以下に、Net4U活用の具体例を挙げてみます。
Net4Uに登録済みのある患者さんがA内科に通院していたとします。病状が悪化したためB病院で詳しく診てもらうことにしました。このようなとき、従来は紹介状に病名、病歴、治療内容の記載し、過去の検査データをコピーするなどの作業が必要でした。これに対しNet4Uではどうでしょうか。紹介状機能を使うと紹介の目的など必要事項を書き送信ボタンを押すだけです。検査データや画像データはカルテを参照してもらうだけで済みます。勿論、必要なデータや画像を紹介状に添付することも可能となっています。
従来は紹介状をもって病院に受診しても、延々と待たされたり、専門医が留守で日を改めて受診しなければならない状況も少なくなかったのではと思われます。Net4Uの立ち上げに際しての荘内病院との話し合いで、Net4Uで紹介した患者さんは事前にカルテを作成するとともに診察医を決めることにしました。指定日に受診すればあまり待たされることもなく専門医の診療を受けることが可能となります。
さらに、この患者さんが入院した場合はどうでしょうか。主治医としては患者さんの入院後の経過は大変気になるものです。入院後は担当医が経過をNet4U に記載すれば、主治医はいながらにして患者さんの経過を把握することが可能となります。また、退院後主治医のもとに帰ってきた患者さんをフォローする際にも、カルテの共有ができていれば、主治医と病院側が一体となって患者さんを診ていくことができます。このように地域医療に求められている医療機関の役割分担にも大いに寄与できるシステムになると期待されます。
CTなど高額機器の共同利用にもNet4U は有用だと考えられます。C診療所からB病院へCT検査を依頼する場合を想定してみます。従来、患者さんは予約、検査、結果の3回にわたりB病院を受診する必要がありました。Net4Uを利用すると患者さんは検査のときのみの受診で済みます。これは、病院側(放射線科)でNet4Uを介して紹介状を受理する→検査日を依頼医療機関に返信する→検査を実施する→読影結果をNet4Uに画像とともに貼り付ける、という一連の作業で実現できます。そのほかにも、 Net4Uに登録された患者さんであれば、救急などで状況がつかめない場合でも、病名や投薬歴などの情報を得ることが可能となり、患者さんにとっても大変有益ではないかと思われます。
このように、今年は夢に満ちたNet4Uの旅立ちのときでもあります。まだまだ未熟なNet4Uですが、われわれが使いながら育てていくものと理解しております。
巣立ったばかりのNet4Uをよろしくお願いいたします。