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トップ  >  編集後記(県 2004.11)

山形県医師会報誌 編集後記
三原一郎
2004年11月



混合診療解禁反対の署名運動には、多大なご協力を頂きありがとうございます。また、11月23日、28日には、それぞれ鶴岡、山形で「皆保険制度を守る国民集会山形県大会」を予定しておりますので、参加のほど、よろしくお願いします。


混合診療については、よく分からないという方が多く(私自身も例外ではありませんが)、花笠MLを介して日本医師会の考え方や、論文などを配信しているところです。これらの情報に目を通して頂けた方には多少なりとも、理解されてきたのではとの感触をもっています。MLに参加していない会員も多いのが現状でありますので、この場をかりて、混合診療についての私見を述べさせて頂きます。


混合診療とは、保険診療と保険外診療を併用することを言います。たとえば、未承認の抗がん剤による治療を受けると、保険が適応となるべき検査やその他の投薬などもすべてが自費払いになってしまいます。これを自由診療といいます。診療の中に保険が適用されないものが含まれると原則としてその診療全体が保険給付外とされているわけです。確かに、これでは患者にとっては、なかなか理解し難く、理不尽な制度だと思われても仕方ないかも知れません。


一方、この混合診療の代替として特定療養費制度があります。新しい医療技術の出現や患者のニーズの多様化等に対応し、高度先進医療や特別のサービス等について、保険給付との調整を図るために創設されたものです。いわば、国が認めた公的な混合診療です。しかし、高度先進医療として認可されるまでには時間がかかりすぎて、患者、医師にとって満足な制度にはなっていないのが現実です。厚労省や日医は、混合診療を解禁するのではなく、この特定療養費制度を拡大することで、自由診療の問題を解決すべきと考えています。


医療の高度化が進むにつれ、医療費の増大が避けられないのは事実です。混合診療を解禁し、患者の多様なニーズに対応しながら、医療費の分散を図ることは、当然検討すべきことと思われます。しかし、現在進められている混合診療解禁の背景には、医療費(この場合の医療費とは保険診療報酬のことです)を抑制したいという国の思惑と、民間保険会社の市場拡大という経済優先主義者たちの策略が隠されていることを見逃してはなりません。混合診療を解禁することで、国の医療費負担を減らし、国民へその負担を押し付け、さらには、そこで利潤を追求しようというのが、混合診療解禁推進派の本音なのです。日本の社会保障への出費は対GDP比で見ると先進国でも最低のレベルです。国民の健康を願うのであれば、国は医療費を抑制するのではなく、むしろ増加させるべきであり、混合 診療解禁の是非は、その後の議論ではないかと考えます。