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地方紙の堕落



12月6日付けのY新聞の社説に混合診療に関する社説が掲載された。内容はおそまつなもので、「混合診療」の本質を十分理解しないまま、あちこちの報道をネタにした軽薄な論説だと感じた。とくに、問題としたのは、「日医など医療機関は、混合診療が解禁されると、高度先進医療ができる大病院に患者が奪われ、 開業医同士の競争が激化することを懸念する。」と事実誤認を根拠に、医者は利害で混合診療に反対していると論じている点である。そもそも、高度先進医療は大学病院など大病院を対象としたもので、開業医と利害が衝突することなどあり得えなことである。これは規制改革 ・ 民間開放推進会議が、医師会の分断を狙って、意図的に流したものであることは明白であるが、そのことも理解できず、「利害関係者の思惑や狙いに振り回されず患者の視点に立ち、医療制度の将来像を意識して結論を出すべきだ。「構造改革」に名を借りた利害調整はもうごめんだ。」と結んでいるのは、茶番に過ぎない。


私は、県医師会の広報を担当する立場にあるので、「大病院に患者が奪われ、開業医同士の競争が激化する」などという曲解をもとに、日医は利害で反対しているという貴社の論調は全くの的外れであり、県民に無用な医療不信を煽ることにもなりかねない、極めて遺憾なことだ。県医師会は貴紙に対し抗議するとともに、 表現の撤回を求めたい。との抗議文を準備した。ところが、友人よりY新聞の社説とそっくりの論説が、S新報のウエッブ上に載っている、盗作ではないかとの報告を受けた(両紙の比較)。そこで、その点について、 Y新聞社に問い合わせをするとると、社説を書いた論説委員が、直接会って話したいとのことで、早速、面談することになった。


まず、私の方から、S新報の記事がY新の社説とほとんど同じではないかと問うと、その論説委員は、こともなげに、配信元が共同通信社なので、当然似ることはある。ほかにも同じような論説があるのではとの返事である。同じ配信元であることは、ある程度予想はしていたものの、社説まで配信元の資料を丸写しにし、まったく悪びれた様子もない回答に呆然としてしまった。したがって、この論説委員は混合診療の本質など知る由もない。貴社の社説の内容は、全くの事実誤認である。どんな主張をしようと構わないが、間違った根拠で、医師会が利害で動いているなどとは書かないで頂きたいと、強く抗議はしたものの、分かっていない相手には、馬耳東風である。国民的議論をしてもらう話題提供をしたに過ぎないと答えるばかりであった。


社説というのは、その新聞社の主張を述べるもっとも重要なコラムではないのか。他人が書いた文書を丸写しにして、社説とするとは、論説委員としての資質を疑わざるを得ない。これが地方紙の実態なのである。新聞は社会の木鐸などといのは、過去のことである。