皮脂欠乏性湿疹
●どんな病気
皮膚が乾燥し、カサカサになるためにかゆくなる病気です。皮膚の表面は、脂を主な成分とした膜で被われおり、この膜がさまざまな刺激から皮膚を保護しているのですが、皮膚のカサカサはこの大事なバリアーとしての膜がこわれていることを意味しています。 従って、いろいろな刺激から皮膚を守ることができなくなり、肌着が触れる程度のわずかな刺激でもかゆみの原因になってしまいます。痒いと掻く、そうすると皮膚のバリアーがさらにこわれより刺激に対して敏感になり、どんどん悪くなっていくという悪循環に陥ってしまうことが多いのです。このようにして、じくじくとなった状態を「貨幣状湿疹」といいます。皮膚表面の脂は年齢と共に減少するため、中年以降でとくに汗をかきにくく皮膚が乾燥しがちな冬季に症状が現れることが多いのです。 |
治療は、皮膚に必要な水分と脂分を補うための保湿剤と、炎症を抑制し、かゆみをとるために副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)などの外用薬を塗布します。かゆみが強いときは内服薬(抗アレルギー剤 ・ 抗ヒスタミン剤)を併用することもあります。ほとんどの場合このような治療でよくなるのですが、その後治療をやめて放置すると、カサカサの肌にもどってまたかゆくなってしまいます。保湿剤などでうるおいのある肌を維持するスキンケアを継続することが大切です。●日常生活での注意
石鹸は皮膚の脂分を洗い流してしまうので、控えめに使うようにします。
体を洗うときはごしごしこすらないようにし、とくにナイロン性のタオルは使用しないで下さい。
衣服 ・ 肌着は木綿製の柔らかいものを着用します。
環境 ・ ヒーターや電気毛布などの暖房器具は肌のカサカサを悪化させたり、かゆみを増長させるので、「あたためすぎ」に注意してください。
文責:三原一郎
(最終更新日1998/11/27)