しろうせい湿疹(脂漏性湿疹)


●脂漏性湿疹とはどんな病気?
思春期以降のいわゆる中年に好発し、頭、顔、わきの下(腋窩)、外陰部など脂の分泌が多い部位(脂漏部位と呼びます)が、赤く、かさかさして痒くなる皮膚の病気です。はっきりした原因は分かっていませんが、脂漏部位に繁殖する癜風菌(皮膚に常在するカビの一種)が原因の一つではないかとして最近注目されています。いずれにしろ、いわゆる「体質」に依存する慢性の皮膚病で、伝染性はありませんし、内臓が悪いために生じるわけでもありません。また、食生活もあまり関係ないようです。
●治療は?
副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用で、炎症症状を抑制し、良くなったら非ステロイドの外用剤でコントロールしていきます。また、癜風菌の繁殖を抑制するための抗真菌剤の外用も場合によっては有効です(下記、脂漏性皮膚炎と抗真菌剤を参照下さい)
●経過は?
個人差が大きく、どのくらいで治るという判断はむずかしいのですが、一般的には良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、数年から十数年かかる場合が多いようです。
●生活上の注意
 ・ 頭の場合は毎日シャンプーできちんと洗いましょう。このとき、爪をたてないように注意します。

 ・ 顔の場合は、低刺激性石鹸できちんと洗顔するようにしましょう。

 ・ 飲酒は控えめにしましょう。

 ・ 日光は避けるようにしましょう。
●脂漏性皮膚炎と抗真菌剤
脂漏性皮膚炎とは、脂漏部位(頭部 ・ 顔面 ・ 腋窩)に好発し紅班と落屑を主症状とする皮膚疾患で全皮膚疾患の2%?3%をしめている。病因としてビタミン ・ ホルモンの代謝異常 ・ 皮脂の質的異常説 ・ 真菌感染説などさまざまいわれているが未だ不祥で体質がかなり関与してると思われる。
●真菌感染説とは
病因の一つとしていわれている真菌感染説の真菌とは脂肪親和真菌(Pityrospo-rum属)の異常繁殖が原因でこの菌は毛包内から角質に存在する常在菌で癜風の原因菌でもある。脂漏部位の健常皮膚からも病変部からも高頻度に検出される。
●ニゾラールクリーム
ニゾラールクリームはイミダゾール系の抗真菌剤で白癬 ・ カンジタ ・ 癜風などに適応する。その中でも脂肪親和真菌(Pityrosporum属)に優れた効果をしめす。抗真菌剤で脂漏性皮膚炎の保険適用にもなっている。
●脂漏性皮膚炎とニゾラールクリーム
脂漏性皮膚炎の病変部にニゾラールクリームを4週間1日2回で単純塗布すると7割以上に紅班 ・ 落屑 ・ 掻痒感の減少が見られる。病変部の脂肪親和真菌も消失 ・ 減少する。副作用はまれに軽度の刺激感がある程度で問題となるような副作用はみられない。
●ステロイドとニゾラールクリーム
ステロイドの外用が一般的な脂漏性皮膚炎の治療として使われ、良く反応し速効性もあり十分な効果が期待できる。部位が顔面の場合でも極々弱いステロイドの外用でコントロールでき問題となるような副作用もみられない。しかし、まれにステロイドの外用に反応せず症状の改善が見られない場合がある。この様な場合にニゾラールクリームを使用してみると、紅班 ・ 落屑 ・ 掻痒感の改善がみられるため治療の一つとして使われている。